発達障害とは?
発達障害とは、成人するまでに起きた精神的または身体的な障害を原因とする一群の多様な慢性疾患のことで、言語・運動・学習・社会生活といった面で困難をもたらします。一般的によく知られる発達障害には以下のものがあります。
● 自閉症スペクトラム障害(ASD): 自閉症やアスペルガー症候群などを含む一連の症状で、発話・社会的コミュニケーション・皮肉や相手の気持ちの理解における困難が特徴です。約100人に一人いると言われています。
● 学習障害: 失読症・難読症・書字障害・算数障害など、特定の学習が困難である疾患です。
● 注意欠陥多動性障害(ADHD): 注意力・認知力・自制心・感情のコントロールの困難を抱えることの多い疾患です。診断基準に依存しますが、有病率は数%と言われています。
文部科学省の小中学生の教員に対するアンケートの結果、学習面または行動面で著しい困難を抱える子どもは6.5%にのぼることがわかりました。割合としては30人クラスにつき平均2人ほどいる計算です。
また、近年「大人の発達障害」という言葉が有名になってきていますが、成人してからも症状が残る方も一定割合いらっしゃいます。もちろん必ずしも全員が持続するわけではないため割合は子どもより減りますが、自分自身や身近な人に大人の発達障害を抱える方がいてもおかしなことではありません。
人に指摘していい?
まず、病気や身体的な特徴は非常にパーソナルな話題です。親しい仲にも礼儀ありとはいいますが、この領域は家族や親友でも無い他人に急に触れられると思わぬトラブルを招きかねないほどにセンシティブだといえます。こういったリスクを知った上で覚悟を持って踏み込むのであっても、それなりの関係性を作った上でなければ難しいと考えています。
次に、人に気づかせるべきか否か迷っているということは、その方に発達障害の疑いがあるが、本人に自覚があるのかわからない状況かと思います。また、もしかしたらその結果周囲に良くない影響が出ていると考えているのではないでしょうか?そういったシチュエーションで本人に発達障害と気づかせるべきでしょうか?
唯一の正解はありませんが、本当に発達障害かどうかの判断は慎重にするべきです。診断には基本的には医療機関での医師による診察が必要です。また、そもそもの目的は何だったでしょうか?本人に病気とわからせることが最終目標でしょうか?もしそうではなく、発達障害と疑われる特性の結果として出ている影響に困っておりそれを解決することが最終目的であれば、本人に発達障害について話すことは必ず必要でしょうか?
まとめると、よく考えてリスクに見合う結果が得られそうと考えられるときのみ病気の話題を出すべきだと考えます。逆に言えば、病気については人の人格に深く関わる部分であるため、それくらい慎重に扱うべきだということです。
指摘されたら?
自分や子どもが人に発達障害ではないかと指摘されたらどうすればよいでしょうか?既に診断を受けていたり自覚がある場合、そのことを話せる間柄であれば打ち明けてみるのも選択肢かもしれません。しかし、もし特に自覚がなく指摘された場合どう受け止めればよいのでしょうか?
もちろんこの場合もケースバイケースですので一般的な正解はありませんが、まずは相手の指摘の目的を明確にするのが重要ではないでしょうか。なぜそのような指摘をしたのか、どうなることで解決するのかの合意を取ることで、次にやるべき行動が見えてくるかと思います。もし頑なに受診を勧めてくる場合は、もしかしたら診断をつけることが目的化しているのかもしれません。親身になれる相手であればその方の背景を深く聞いてあげることも必要かもしれません。
もし既にご自身がもしかしたら発達障害ではないかと感じていて、職場やママ友などのコミュニティで困り感を感じている場合は、こちらの連載がヒントになるかもしれません。
● Mental Lab | 第1話 発達障害 ~自分自身を知る。自分とは何者か?~
● Mental Lab | 第2話 発達障害を自分の個性に変換 ~準備編~
● Mental Lab | 第3話 発達障害を自分の個性に変換~実践編~
● Mental Lab | 〜最終話~発達障害を自分の個性に変換~私が実践してきたこと~
どうすればいいか悩んでいる方はご相談下さい
ここまで発達障害の特徴と、そこあら言えることを考えてきました。しかし、人や状況によりどうすべきかは様々です。何が問題か、どうすれば解決できるかといったことがわからなくなってきた方はぜひご相談下さい。客観的に話すと解決策が見えてくることもあります。あなたに合ったカウンセラーが話を聞きます。
1: ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について
4: 通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について:文部科学省
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